ハーフ☆ブラザー 突然出てきた弟に溺愛されてます!

3.残された命題

*****


車に乗りこんで、ハンドルに顔を伏せた。

どうしよう……あんな人目につくところで、抱き合ってチューしてたなんて、我ながらウカツすぎる……。

「大丈夫だよ。暗いし、まいさんだってことは、バレてないだろうから」

お気楽な大地が、なだめるように私の肩を叩いてくる。

「いまさらだけど……姉弟じゃなくても未成年とエッチしてたら、淫行条例に引っかかるじゃん!
あー、もう、トチ狂いすぎだよ、私!」
「まぁ確かにそうだけど……法令の成立したきっかけが援助交際───未成年の売買春だろうから、僕たちには関係ないよ。
なんでもそうだけど、バレなきゃ罪になんないし。
ね?」
「あんたは~、ホンっトに、そういうとこ常識とかモラルとか、ぶっちぎってるわね!」

キッと助手席の大地をにらみつけると、けろりとした顔で答えを返された。

「まいさんが一般常識に、とらわれすぎなんだよ。
他人に迷惑をかけない。人命を第一に考える。
……社会のなかで必要なのは、そのくらいでしょ?
人の恋路にあれこれ口だす人のことなんか、放っておけばいいんだって」
「───もう、いい……」

大地と話していると、自分の価値観が根底からくつがえされて、何もかもが、どうでもいいことのように思えてくる。
ホント、こだわってる私が、バカみたい。

気をとり直して、エンジンをかけようとした、その時、大地が口を開いた。

「あのね。鑑定結果のこと、お父さん……じゃなくて、ええと」
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