100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「私も信じています。クルーの志がある者なら整備士に嫌がらせをしないと。今回の犯人はクルーと呼びたくない。信用できない者と飛ぶわけにいかないから、たとえ離陸が遅れようとも犯人を見つけ出す。乗客乗員の安全のために」
CAたちは不服そうな顔をしながらも安全のためと言われると反論できず、和葉は自分が我慢すればいいと思っていたことを反省した。
黙り込む皆を見回した五十嵐が、ドライバーの入った袋を胸の高さまで持ち上げた。
「空港警察に運航妨害の被害届を出し、証拠としてこれを提出します。金城さんと嶺谷さん、ふたり以外の指紋が出たらその人が犯人です。ふたり分の指紋しか出なければ、嶺谷さんが疑わしい」
「私じゃないと言っているでしょ!」
嶺谷の怒りの声にまざり、微かな驚きの声が聞こえた。
その方向を見ると、ふたり並んだCAの背後に緑沢がいた。
(あ、緑沢さんもいたんだ)
いつも無表情で大人しく、更衣室では和葉が挨拶をしても返事をしない人だ。
陰が薄いので気に留めなかったが、今は無表情ではなく、落ち着かない顔に見えた。
(まさか、緑沢さんが……?)
犯人の可能性を考えたが、すぐに否定する。
(嶺谷さんなら動機があるけど、緑沢さんにはないでしょう)
五十嵐の婚約者だという和葉の噂で持ちきりだった時も、少しも関心がない様子で目も合わなかった。
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