100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
恨まれる理由がないと判断した次の瞬間、彼が袋ごとドライバーを床に落とした。
「おっと」
なんとなくわざとらしい感じがして不思議に思いつつも、和葉は屈んで拾おうとする。
その時、「キャッ」と声があがった。
CAふたりを突き飛ばす勢いで前に出た緑沢が、和葉より先にビニール袋を拾い上げたのだ。
皆が驚く中で彼女はジッパーを開けようとしており、その両手首を五十嵐に掴まれ止められた。
「和葉、誰にも触れさせないようにドライバーを持っていろ」
「は、はい」
必死な形相の緑沢がビニール袋を離そうとしないので、中のドライバーだけ取り出して胸に抱きしめるようにして隠す。
さらに三メートルほど下がって緑沢と距離を取り、まだ諦めずにこちらに向かってこようともがく彼女を信じられない思いで見つめる。
(これって、やっぱり緑沢さんが……)
五十嵐の厳しい声が響く。
「証拠に触れようとした理由はただひとつ。すでにドライバーに君の指紋がついており、調べられると困るからだ。自首したようなものだろ。諦めろ」
「ち、違います。私じゃありません」
「認めないのなら本当に警察を介入させるぞ。逮捕されたいのか?」
被害届の提出は、犯人をおびき出すために言っただけのようだ。
緑沢は一瞬、迷ったような顔をしてから、諦めたように力を抜いてうつむいた。
「私がやりました。申し訳ございません……」
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