100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています

高齢の祖母に会わなければとずっと気にしていたので、近々帰る話を母にしていた。
それで来月上旬の四日間の休暇を申請し、許可されたのは昨日である。
母にメッセージを返しながら、五十嵐にも帰省予定を伝える。
「来月、祖母に会いに沖縄に帰ります」
「何日？」
日付を答えると、彼は自分の携帯を出して勤務スケジュールを確認している。
「和葉の帰省の二日目に俺も那覇便だ」
「そうなんですか」
普段から国内のあちこちに飛んでいる彼なので、特段の驚きはない。
携帯を置いてサンドイッチの続きを食べ、オレンジジュースで喉を潤していると、驚く提案をされた。
「十一時半頃に那覇空港に到着して、復路便で飛ぶまで三時間ある。中抜けを申請しておくから、お前の実家に挨拶に行きたい」
思わずジュースのカップを倒しそうになり慌てる。
「挨拶って、なんのですか？」
まさかという思いで目を丸くすると、さも当然のようなすまし顔を向けられた。
「婚約と同棲についてだ。事後報告になったのはご家族に申し訳ない」
「そ、それはダメです！」
「なぜ？」
眉間に皺を寄せる彼に焦って早口で説明する。
「家族には引っ越したことしか教えていないんです。ひとり暮らしをしていると思っているのに挨拶されたら、超大型台風到来並みの大騒ぎですよ」
「俺は天災か？」