100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「いえ、間違いなく大歓迎されます。結婚に縁遠そうな私が婚約者を連れてきたって、近所にも触れ回って、盆と正月がいっぺんに来たような状況になるんです」
誕生日やクリスマスなどのイベントは、親戚や近所の人も集めて宴会を開くのがお決まりだ。
娘の婚約者の登場に、お祭り騒ぎになるのは目に見えていた。
そして大喜びさせた分、婚約解消を知らせた日には激しく落ち込ませてしまうだろう。
「期限まで一か月半くらいですよ。その日が来たら婚約解消するのに、挨拶はいらないですから」
自分で言っておきながら、迫る別れに胸が痛む。
それを隠して決意が揺るがないよう、強気な視線をぶつけた。
しかし彼は納得していないような顔で飲みかけのカップを置く。
「和葉が俺に惚れなかったら、の話だろ。婚約解消にはならない」
「五十嵐さんがものすごく女性にモテるのはわかっていますけど、それは自信過剰です。私は絶対に落ちません」
「へぇ、お前も大した自信だな。それなら今、試してみるか?」
ふたりの間に置いていた和葉のバッグを彼がよけると、間隔を詰めて座られた。
危険を察知したが一瞬遅く、肩に腕を回され、もう一方の手で顎をすくわれた。
なんともいえない色っぽい顔で微笑まれ、心臓が大きく波打つ。
たちまち甘い雰囲気に持ちこむ彼に飲まれそうで、和葉の心は大慌てだ。
(フェロモン出すのやめて。それ浴びると変な気分になるから……)
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