100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
よく聞いていると、『帰省される方』という部分だけ若干強調されていた。
和葉に向けて言ったのだろうと思うと照れくさく、鼓動が二割増しで高鳴った。
(スタンバイだったのかな。急遽この便を操縦することになったのかも)
先月、和葉の実家に挨拶にいくと言い出した時は焦って止め、中抜けはしないと約束してもらった。
だから四日後まで会えないのは変わらないが、今もすぐそこにいると思うと寂しくなくなった。
(五十嵐さんの操縦する便に乗れるなんて、嬉しい偶然だ)
沖縄土産をたくさん買って帰ろうと考え、コックピットの方向に微笑んだ。

那覇空港に到着後、バスに乗り糸満市まで移動して実家に帰り着いた。
マンゴーやキウイがなる庭つきで、敷地内には古い母屋と築十年ほどの離れが建っている。
母屋には和葉の両親と祖母、兄弟が住んでいて、離れを使っているのは父の弟の叔父一家だ。和葉が上京するまでは十四人の大家族で暮らしていた。
「ただいまー」
玄関ドアを開けると、奥から「ねーねーだ!」という声がした。
沖縄では姉を『ねーねー』、兄を『にーにー』、両親は『おとー』『おかー』と呼ぶ。
玄関まで走って出迎えてくれたのは十七歳の妹の美月(みつき)。
和葉は五人兄弟の三番目で、美月は大家族の中で唯一の未成年者で高校生だ。美月以外の兄弟は就職し、長男は県内でひとり暮らしをしている。
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