100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
久しぶりに思いきり肉を食べて酔い潰れようかと思い、のんきに東屋へ近づく。
「おかー、急なビーチパーティーだね。それとも用意していたの?」
「してないよ」
兄たちが今、足りない肉とビールを急いで買いにいっているらしい。
母は叔母と並んで野菜を切りながら言う。
「もっと早く教えてよ。そうしたら準備しておいたのに」
(帰省の予定は二週間以上前に伝えたけど?)
文句を言いながらも母はなぜか嬉しそうで、石のグリルの前で火起こししている父と叔父が「そうさー」と同意して笑顔で振り向いた。
そのふたりの間に見えたのは、グリルの向こう側のベンチにちょこんと座る置物のような祖母と、その横の――。
いるはずのない人がそこにいて、目を見開いた和葉は叫んだ。
「な、なんで五十嵐さんがここにいるんですか!?」
パイロットの制服でも見たことのある私服姿でもない。
色あせたTシャツはおそらく兄のもので、ビーチパーティーで汚れるからと無理やり着替えさせられたのだろう。
こっちは盛大に驚いているというのに、彼はその理由に少しも思いあたらないような顔をしている。
「住所についてなら、ご実家からの宅配便の送り状に書いてあったが」
「そうじゃなくて――」
「和葉さんの帰省に合わせて、ご実家に挨拶にいきたいと話したよね?」
好青年風の笑みといつもとは違う口調に戸惑う。
(私の家族に気に入られたいんだ)
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