100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
その魂胆に気づき、負けてなるものかと言い返す。
「私は挨拶しなくていいと言いました。中抜けしないという約束もしたはずです」
展望デッキで一緒にランチをした時に、復路便が飛ぶまでの三時間ほどを使って挨拶にいきたいと言われたがはっきりと断った。
そのあとも今日までの間に何度か念押しし、『わかった』と言われていたのに、勝手にやってくるとは約束破りもいいところだ。
思いきり眉を寄せたが、好青年風の笑みは崩れない。
「明日のフライトに関してはそういう約束だったが、急遽スケジュールが変更になったんだよ。今日はステイで明朝に羽田に飛ぶ。中抜けすると休憩時間が取れないからと君は心配してくれていたけど、これなら大丈夫だよね?」
(心配して止めたわけじゃないのはわかっているくせに。その急な変更も怪しい。スケジューラーに頼まれたのではなく、自分から希望を出して変えてもらったんじゃないの?)
中抜けしないという約束を守った上で、挨拶にくるために。
やられたという思いで唇を噛むと、母が笑った。
「喧嘩するほど仲がいいって昔から言われているからね。結婚前からもう夫婦みたいさー」
(夫婦!?)
「い、五十嵐さん、どんな挨拶をしたんですか……?」
「事前に和葉さんに言った通りだよ。挨拶にくるのが遅れたことをお詫びして、結婚前提の交際と同棲のお許しをいただいた。君は寛大で優しいご家族の中で育ったんだね」
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