100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
航空業界に憧れての就職ではないという点が同じで親近感が湧き、自分だけではないと思うといくらか心が軽くなった。
「動機がなんであれ、堂島さんが優秀なクルーなのは変わりない。乗務する便に君がいてくれると心強く思う。これからもよろしく」
「ありがとうございます」
頬を染めた彼女がはにかむように微笑んだ。
意志の強そうな顔できびきびと働いている姿しか見たことがなかったので、そういう顔もするのかと新鮮に感じた。
「五十嵐さんは?」
パイロットになった動機を問われ、心臓が波打つ。
話したくはないが、隠すのはフェアじゃない気がして重い口を開いた。
「実は――」
しかし、自分も同じだと言おうとして途中で言葉を切る。
彼女の口から和葉の耳に入るかもしれず、打ち明けたあとのことを懸念した。
(和葉に話すなら自分で。幻滅されるかもしれないが)
美玲が期待をにじませた目で続きを待っている。
ごまかそうと思った時、コートのポケットで携帯が震えた。
「失礼」
取り出して画面を見ると、和葉からの着信だった。
「どうした? 仕事中だろ?」
「今、休憩に入ったところで更衣室から電話しています。五十嵐さん、まだ空港内にいますか?」
焦っているような早口で聞かれ、疑問に思う。
和葉の更衣室はこの建物内だ。社用車を運転し、わざわざ遠いここまで電話をしにきた理由がわからない。
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