100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「おつかれさまでした……」
寂しそうな笑みを向けられたが、それに気を取られている暇はなく、バッグふたつを手に急いで寒空の下へ。
すぐ隣にある駐車スペースに着くと、別の出入口から和葉が駆けてきた。
「五十嵐さん!」
見慣れた作業着姿の彼女が満面の笑みを浮かべ、両手を広げて向かってくる。
荷物から手を離して受け止める姿勢を取ったのに、直前で足にブレーキをかけられた。
「危ない。抱きつくところでした」
「私服のコートは汚れてもいい」
「誰かに見られるのを心配しているんです」
「へぇ、見られなければ抱きつきたいということか?」
からかった途端に真っ赤になり、顔を隠そうと背を向ける。
「ち、違います。今のはなんというか、すれ違いの末にやっと会えたから、ミッションコンプリートみたいな感覚で。それじゃ私は仕事に戻ります」
言い訳してすぐに社用車の方へ行こうとするので、その背を抱きしめ引き留めた。
「い、五十嵐さん。私、仕事が……」
「あと一分ある。少しだけそのままで」
急いでステイバッグから土産を探し、ケースから出したネックレスを和葉の首につけた。
「えっ、これは?」
「ニューヨークの空港内で買った」
星の形のモチーフにダイヤをはめ込んだペンダントトップがついている。
店員には一番人気だという大人っぽいデザインのものを勧められたが、和葉にはこれが似合うと思い自分で選んだ。
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