100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
胸の中が熱いので冷たい夜風が心地よく、口角が自然と上がった。
格納庫がある方角に視線を向けると、滑走路の誘導灯が星のように輝いていた。

* * *

十二月に入るとグンと寒くなり、沖縄生まれには厳しい季節になる。
六時に起床して洗面をすませた和葉は、出勤のために自室でモソモソと着替えをする。
色気がないと思いつつも、ヒートテックの黒い長袖の肌着と分厚いタイツは欠かせない。
これで黒い帽子をかぶっていたなら、お笑い番組に出てきそうな全身タイツ姿に見える。
(五十嵐さんには絶対に見せられない。下着を見せる日はこないから心配いらないけど)
ハイネックの白いニットに裏起毛のストレートパンツを穿いて部屋を出た。
リビングに入ると、ダイニングテーブルに向かう彼が残りひと口分のトーストを片手にこっちを見た。今日は彼の方が出勤時間が早い。
「おはよう」
「おはようございます。食パン、まだあります?」
「ああ。サラダとスクランブルエッグもある。味の保証はしないが」
「ありがとうございます!」
時間に余裕がある時は、こうして和葉の分も用意してくれるのが嬉しい。
キッチンに立った和葉は食パンをトーストし、五十嵐が作ってくれた料理と一緒にトレーにのせて向かいの席に座った。
食事を終えた彼はコーヒーを飲みながら、社用のタブレットで天気図をチェックしている。
「いただきます。今日はどこに飛ぶんですか?」
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