100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
それなのに彼を狙わないでと心が叫んでいた。
鼓動が嫌な音で鳴り立て、目を泳がせた。
「ごめんなさい。でもそんな顔をしないで。現時点で失恋しているのは私。そうでしょ?」
和葉の方も片想いだとは打ち明けられず、あいまいに頷く。
(ズルした気分……)
後ろめたい気持ちになってうつむいた。
「金城さんは勝ち誇っていいのよ。落ち込むのは私の方なんだから」
「そんな自信はありません。美玲さんに告白されたら、どんな男性でもイチコロです」
「それは違うわ。見ていればわかる。五十嵐さんがあなたをとても大切にしているのが」
(大切……)
ストーカーに怯えずに生活できるのも、青いカーディガンを手に入れられたのも、苦手な茄子を食べてくれたのも、素敵なネックレスをくれたのも全部、和葉を大切に想ってくれているからだろう。
他人の目にもそのように映るのかと自信が膨らみ、顔を上げたが、励まされた直後にぶつけられた挑戦的な視線に心臓が大きく波打った。
(な、なに?)
「彼に恋をしたのが遅かった。失恋確定だとわかっているの。それでもなにもせずにこの恋を終わらせるのがつらい。金城さん、お願いします。私と勝負してください」
「勝負って、どんなことをするんですか……?」
引き受ける気はないが、聞いておかないと気になって仕事が手につきそうにない。
「五十嵐さんは今日、福岡便よね。羽田に戻るのは十九時半予定だから――」
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