100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
料理をすることで気も紛れそうだ。
鼻歌を歌って無理やり楽しい雰囲気を作り、冷蔵庫を開けて食材を確認する。
実家から送られてきた沖縄そばの袋麺を見て、鍋にしようかと考える。
冬になると実家では豚バラやつくね、豆腐と野菜、麺を入れて、沖縄そばの出汁で煮込んだ鍋をする。
南の島の鍋は半袖姿で汗をかきながら、大家族で賑やかにつつくのだ。
「つくねはないけど豚バラと豆腐がある。味変用の柚子胡椒と紅ショウガも。野菜はあるものを全部入れちゃおう。なんくるないさー!」
〝すべきことをしていれば問題ない〟と沖縄弁で自分を励まし、野菜を出して切る。
ふたり鍋を想像すると楽しい気分になり、自然と口角が上がった。
しばらくして――ダイニングテーブルにはカセットコンロと土鍋、取り皿と箸とビールグラスがふたり分、置かれている。
これらを用意したのは三時間ほど前で、まだ食べていない。
ソファで膝を抱えた和葉は、テレビ画面に視線を留めていた。
しかし放送中のバラエティー番組にも、空腹にも意識が向かない。
(五十嵐さん、遅いな……)
もうすぐ二十二時になるところで、美玲の誘いに応じたと思いたくないので、別の理由を考える。
(同乗したキャプテンと食事をして帰るのかも)
実際にそういう日もたまにある。
確かめようと思って携帯を手にしたが、メッセージを送れなかった。
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