100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
燃料切れに全エンジン停止や火災、計器の故障に着陸予定の空港の閉鎖。台風に吹雪に浸水した滑走路。一般道路に胴体着陸したこともある。
ディスプレイには滝のようにエラーメッセージが流れ、そのひとつひとつに対処しながら無事に着陸しなければならない。
それらに比べると、今はずいぶんと好条件のフライトに思えた。
「自信がないなら無理にとは言わないが」
「あります。あるのが少々不安だったのですが、過信ではないようなので安心しました」
挑戦的に口角を上げて答えたら、御子柴が満足げに笑う。
「お前はそれくらい熱くてちょうどいい。ユーハブ」
「アイハブ コントロール」
五十嵐が操縦桿を握ると、御子柴が滑走路までの距離を読み上げる。
「三百、二百五十、二百、百五十……」
機体が揺れて向きを補正しながら前方に目を凝らす。
叩きつけるような雨の中に、霞む滑走路端灯を肉眼で確認できた。
「インサイト ランウェイ」
滑走路が濡れているため、あえて強めにタイヤを接地する。
ガタンと衝撃が体に伝わり機体が滑走路をすべる。
ブレーキの効きはやはり弱いが想定内だ。
徐々にスピードは落ち、オーバーランすることなく無事に止まった。
キャビンから乗客の拍手が聞こえる。
「パーフェクトランディング。まぁ、俺の愛弟子なら当然だろ」
差し出された御子柴の手を握ると、やっと長いフライトが終わったと実感して大きく息をついた。
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