100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
そう言われた時、からかわれたように感じたが、大好きな仕事に励む和葉を心から羨ましいと思っていたようだ。
「和葉にはなかなか言えなかった。残念に思わせたならすまない」
反応を窺うような目にはいつもの余裕が感じられない。
パイロットになるまでも、なってからライセンスを維持するのも相当な努力が必要で、好きだから苦労を乗り越えられるのだと思っていた。
航空整備士は機体を、パイロットは飛ぶことを愛していると信じていたため、正直に言うと自分と同じ情熱がないのが残念だった。
頷くと彼の表情が曇ったので、慌ててつけ足す。
「でも五十嵐さんを好きな気持ちは減りません。悩みを打ち明けてくれたのは嬉しいです。どうしたら楽しく飛べるようになりますか? 私にできることはなんでもします。協力させてください」
「ありがたいが、ないな。方法がわかればとっくに試している。兄の代わりに飛んでいるだけだから無理だろう」
母親を思う彼の気持ちを考えると、それなら他の職業に就けばいいとは言えない。
どうすれば彼の心が軽くなるのかわからず困ったが、この話はおしまいとばかりに彼が写真をしまった。
「そんなに難しい顔をするな。解決策を考えてほしかったわけではない。お前がどこに惚れたのかを聞いたから言ったまでだ」
そういえば、具体的に好きになった部分をあげてほしいと求めていた最中だった。
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