100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「私は生まれつき心機能が弱いの。入院といっても検査入院よ。心配いらないわ」
「通院での検査データが悪かったせいで、精密検査になったんだろ?」
「もう年だもの。数値が悪くなるのは当然なのよ」
「母さんはいつも平気なふりをする。東京に引っ越してくれたら少しは安心できるんだが」
息子の心配に肩をすくめた母親が話題を変える。
「そうそう、和葉さんに見せたいと思ってアルバムを出しておいたの。慧の子供の頃の写真、よかったら見てくれない?」
「ぜひ見せてください!」
彼の嫌そうな顔には気づかないふりをして母親の隣に並んで座り、重みのあるアルバムを絨毯の上で開く。
「これが生まれてひと月経った慧。隣にいるのが兄の翔。七歳の頃ね」
「わぁ、可愛い!」
柔らかそうなプクプクした頬はつつきたくなる。
ベビーベッドの中で無垢な目を兄に向け、小さな手で指をぎゅっと握っていた。
兄は可愛くてたまらないと言いたげな顔で弟を見つめている。
幸せが凝縮されたような素敵な写真だった。
一歳、二歳、三歳と年齢が上がるとやんちゃぶりが見てとれる。
たたんだ洗濯物の上にダイブしている写真や、大きな木の枝を引きずって歩く写真。公園に落ちていた枝を持って帰ると言って聞かなかったそうだ。
オムライスに自分でケチャップをかけたら勢いが強すぎて、兄の服や壁に派手に飛び散っている写真には笑った。
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