100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
【和葉の言った通りだった】
どういう意味かと問い返したが返事がなく、とっくに復路便で飛び立ったあとなので携帯を見られないことに気づいた。
ホノルルまでの航路は冬になると偏西風の影響が強まるため、往路が七時間弱なのに対し、復路は九時間強もかかるのだ。
(私が言った通りってなんだろう。わざわざメッセージを送ってくるくらいだから、ものすごく伝えたいことがあるんだと思うけど)
普段はマメにメッセージを送り合ったりしないから、余計に気になる。
もしかしてと期待して、鼓動が二割増しで高鳴っていた。
『今の慧さんならきっと、感動できる空と出会えます。ワクワクしてもっと飛びたいと思えるようになります。絶対に』
彼の実家近くの神社で話した、あの時の言葉だ。
到着予定の十五時五十五分まであと少し。
滑走路から一機が飛び立って五分ほどして、薄雲のかかる南東の空に機影が見えた。
やや強い北風を受けてまっすぐに向かってくる機体の垂直尾翼に、スカイエアライズのロゴマークが確認できた。
(来た!)
横風なのでおそらく着陸は手動だろう。
ペアを組んでいるのは後輩に積極的に操縦を任せる御子柴だから、操縦桿を握っているのは慧だと思われる。
(緊張する)
思えば彼のランディングをしっかりと見るのは初めてだ。
心配しているのではなく、期待とワクワク感で鼓動が高まり、寒さを忘れて冷たい柵を握りしめた。
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