100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
横風に機体が揺れてもすぐに修正され、スムーズにタイヤが接地する。
滑走路を悠々と走る機体に余裕を感じ、思わず拍手した。
(惚れ惚れするようなランディング。さすが慧さんだ)
ターミナルの方へとゆっくり誘導路を進み、スポットに入るまでを見届けると、急に寒さを思い出して体を震わせた。
逃げるように屋内に退避してホッと息をつき、携帯を出す。
【ランディングお見事でした。一緒に帰れますか? 空港にいますので退勤したら連絡ください】
慧にメッセージを送ってから、のんびりと歩き出す。
ターミナル内のテナントを眺めてブラブラと進みつつ、エスカレーターで一階まで下りた。
彼が仕事を終えるまでは早くても一時間ほどかかるだろう。
それまでどこかの店内で、カフェオレでも飲みながら待つことにする。
足を止めたのは到着ロビーに近いカフェだ。
ここは三か月ほど前に、テイクアウトのサンドイッチを慧にご馳走してもらった店である。
今日も店先のメニューの立て看板を見て、まずは懐具合と相談した。
(カフェオレ五百五十円は高いと思うけど、今日はサンドイッチを頼まないから、まぁいいか)
店の入り口に顔を向けると、視界の端に足早にこちらに向かってくる人影が映った。
なにげなく振り向いて驚く。
キャスターつきのバッグを引いて制帽をかぶった慧が、五メートルほど先にいた。
その後ろには御子柴と美玲、自社の他のCAも数人いる。
< 238 / 243 >

この作品をシェア

pagetop