100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
ニッとつり上がった口角を見る限り、少しも悪いと思っていなそうだ。
むしろしてやったりと言いたげなので、口を尖らせて文句を言う。
「もったいぶらずに早く教えてください。だいたい予想はついているんですけど。いいフライトだったんですよね?」
期待で鼓動を高まらせて返事を待つと、慧が目を細めて頷いた。
「コックピットから日の出を見ていると、幼い日を思い出したんだ」
ジャングルジムのてっぺんで飛行機に真似をして両手を広げ、いつか本当に空を飛びたいと願った当時の気持ちが蘇ったそうだ。
そうすると、これまではなにも感じなかったコックピットからの日の出が心にしみて、一生忘れられない景色になったという。
話してくれる慧は、清々しい笑みを浮かべていた。
長年抱えていた悩みからやっと解放されたためだろう。
(ついにこの日が来たんだ……!)
彼の悩みを知ってから、どうにかならないかと一緒に苦しんできたので、和葉の胸にも喜びが押し寄せる。
「飛ぶのは楽しいですか?」
嬉し涙がにじむ目に彼を映して確認する。
「ああ。まだ日の出の余韻で胸が高鳴っている。コックピットクルーになってよかった。この先も限界が来るまで、空を飛びたい」
「慧さん……」
「泣くな。喜べ」
「嬉しいから涙が出るんです」
親指の腹で涙を拭ってくれた彼と見つめ合う。
「和葉のおかげだ。ありがとう」
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