100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
お礼の言葉は照れくさく、凛々しい制服姿には胸が高鳴る。
頬を染めてもじもじしていると、彼の目に蠱惑的な光が灯った。
夜中にベッドで見るなら、こちらも遠慮なく胸をときめかせられるのだが、ここは到着ロビーだ。
周囲には大勢の人がいる。
「パイロットだ」
横を通り過ぎた女性ふたり組の声が聞こえ、端によけていても制服姿だと人目に留まることに気づいた。
色気を醸す彼が攻めてくる前にと、急いで手のひらを向ける。
「ストップです。コンプラを意識してください」
「出迎えのパートナーとのハグやキスは、日常的に目にしてきたが」
「アメリカで勤務していた時の話ですよね? ここは日本ですよ」
仕方ないと言いたげに色気を消した彼が、フライトバッグのファスナーを開けてなにかを取り出した。
ふたつ折りにされた薄い紙が入っているクリアファイルだ。
差し出されたので受け取り、なんだろうと軽い気持ちで紙を広げてみると――。
「婚姻届け!?」
しかも彼のサインだけでなく、証人欄に御子柴と美玲の記名もある。
『いつまでダラダラと同棲しているんだ。早く身を固めろよ』
機体をスポットに入れてエンジンを停止させたあとに、御子柴がそう言ってこれを渡してきたそうだ。
報告のためにコックピットに入ってきた美玲にその現場を見られ、ぜひにと彼女に言われて証人欄にサインをもらったらしい。
「美玲さんまで結婚を後押ししてくれるなんて……」
< 241 / 243 >

この作品をシェア

pagetop