100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
飛行機マニアにご馳走してもらうのとわけが違う。
無償で援助をしてもらったことでこの先ずっと頭が上がらず、からかわれてもなにも言い返せないのは嫌だ。
「引っ越さなくてもきっと大丈夫ですよ。十分に気をつけますので」
今すぐ住まいを変えられないのなら、不安を膨らませても仕方ない。
五十嵐にも心配を解いてもらおうと明るく言ったのに、眉間の皺を深められた。
「数日後、ニュースになっていないといいが」
「怖いこと言わないでください」
模様のない白いカップに口をつけた彼が、一点を見つめて黙り込む。
コーヒーを飲む仕草がまるでドラマのワンシーンのようだ。
(イケメンは七難隠す。そんな言葉なかったっけ? なにしてもかっこいいのはズルい)
しばらくしてカップを置いた彼が、視線をこちらに流して口を開いた。
「部屋は余っている。引っ越し費用が貯まるまでの間、ここに住むか?」
「へっ……?」
予想外の提案に、間抜けな驚きの声を漏らしてしまう。
真顔なので冗談ではないようだけど、その解決法に行きつくまでの気持ちが理解できない。
(私たちって友達じゃないよ。同じ会社に勤める他業種で、仕事上の接点も濃くはない。そんな私にどうして部屋を貸せるの? 乗り掛かった船という心境?)
ありがたい申し出なのかもしれないが、数回話しただけの浅い関係で一緒に暮らすのは考えられない。
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