100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています

しかし緊張しながら告白されるのを待っていたというのに、彼の首がゆっくりと傾く。
「どうだろう。和葉の仕事への熱意には感心している」
「つまり、恋愛感情はないということですね？」
「そこにこだわるな。俺たちの交際にはお互いにメリットがある。和葉はストーカーから、俺は女性社員から逃げられる」
さっきまでのときめきはどこへやら。
モテすぎるという悩みを、和葉を使って解決しようとしている彼に顔をしかめた。
「私を恋人に仕立てて、盾にしようというのですか？」
「言い方が悪い。お互いに相手を守るという契約だ」
「私じゃ守れませんよ。一部のCAさんに見下されていますから。逆に喜ばれそうです」
これまで女性社員との間に壁を作っていた彼が和葉を恋人にしたら、職場恋愛アリだと示しているようなものだ。
女子力の低い和葉からなら簡単に奪えると思われそうで、これまで以上に誘われるのではないだろうか。
自分では恋人役に不適格だと説明し、「ごちそうさまでした」と立ち上がる。
ときめきを返せという腹立たしい気持ちで帰ろうとしたのだが、手を引っ張られてソファに腰を戻した。
「まだ話は終わっていない」
いつも操縦桿を握っている大きな手は少し硬くて力強く、反射的に顔が熱くなる。
「ただの恋人ではなく婚約関係にあることにしよう。俺に言い寄ってなにかあれば不倫になる。まともな考えの女性は諦めるはずだ」