100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています

「嘘の婚約なんてしません。気持ちがないのにおかしいです」
「それなら嘘をまことにすればいい。惚れさせるから、その時は本当に婚約しよう」
「自信過剰ですよ。すべての女性があなたに興味を持つと思わないでください。私は絶対に惚れません。私の恋人は航空機ですから」
（あ、また言ってしまった。これを言うとバカにされるとわかっているのに）
新人の頃の自己紹介の言葉が、しばらく整備部で流行ったと浅見から聞かされた時は恥ずかしかった。
（どうせ五十嵐さんも笑うんでしょ？）
負けまいと強気な視線をぶつけたが、彼は少しも笑わずに眩しそうに目を細めた。
予想外の反応に戸惑っていると、こちらのメリットを追加される。
「期限を設けよう。そうだな……百日後、十二月の初旬までだ。その間に和葉が俺を好きにならなければ婚約解消。慰謝料代わりに新しいマンションを買ってやるから引っ越せばいい。それでどうだ？」
（なにそれ、すごい好条件）
注目されている彼だから婚約の噂は一気に広まり、落ち着かない日々が始まるだろう。
しかし百日くらいなら耐えられる。
婚約解消後は手に入れた新しいマンションでジャンク部品に囲まれ、楽しく暮らすのだ。
想像するとワクワクと期待に胸が高鳴った。
「契約します。報酬のマンションですが、二部屋以上の間取りでもいいですか？　トランクルームに置いているコレクションをしまえる広さがほしいです」