100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
「でも、お代わりまでさせてしまって」
「うまかったよ。食感が苦手だったが、和葉の茄子料理なら食べられる。また作ってくれ」
食べず嫌いだった茄子が美味しいと知ったのならわかるが、和葉の手料理限定で今後も食べたいというのはなぜだろうか。
「どうしてですか?」
料理上手でもないのにという思いで首を傾げると、彼の口角が上がった。
(な、なに?)
なにかを企んでいそうな表情に気づいたが、一歩で距離を詰められて体が触れそうになっても左右には座席、後ろには重要な計器が並んでいるので逃げられない。
和葉を、いや恐らく計器を守ろうとして腰に片腕を回してきた彼が耳元で甘く囁く。
「苦手なものを美味しく食べられるのは、惚れた女が作ってくれたからだ」
(ほ、惚れ……!?)
気に入っている程度の想いから、いつの間にそこまで進んだのか。
予兆がまったくなかった告白に言葉が出ないほど驚き、たちまち動悸が加速する。
胸は止めようもなくときめいて、好きにならないようにと強く踏み込んでいたブレーキペダルから足を離しそうになる。
けれども恋が始まる前に、こらえきれない忍び笑いが聞こえた。
「と、言わせたいのか?」
またからかわれたと知り、ときめいてしまった分、余計に悔しくなる。
「違います!」
狭い通路で五十嵐の横を強引にすり抜け出口へ向かう。
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