100日婚約なのに、俺様パイロットに容赦なく激愛されています
作業着の汚れが彼の制服につくかもしれないが、そんなの知ったことかという気持ちだ。
クスッと笑う声が背後に聞こえる。
「頑張れよ」
「そっちこそ」
コックピットを出て短い階段を降りている間も、まだ唇を噛んでいた。
(恋愛に不慣れな私をからかう五十嵐さんも、いちいちドキドキするこの心臓も、なんとかしてよ)
同棲を始めてから一番動揺したのは彼の誕生日に甘い雰囲気を作られた時だが、その後もときめきは止まらない。
この間、ストーカー事件以来、初めてランウェイに行こうとしたら、五十嵐がついてきた。
湯崎は出禁になり、来店していないと電話でマスターに確認したから大丈夫だと言ったのに、『俺も飲みたい気分なんだ』と譲らなかったのだ。
そして案の定、店内ではエアラインのパイロットに常連客が群がり、迷惑そうな顔をしていた。
だからついて来なくていいと言ったのにという心境だったが、まるで本当の婚約者のように守ろうとしてくれた彼の気持ちが嬉しく、胸が高鳴ったのも事実だ。
また別の日にはこんなこともあった。
同棲で家賃が浮いた分生活に余裕が生まれ、久しぶりに服を買いにいったら、青いカーディガンに一目惚れした。
予算より少し高かったが、購入を決めて手に取ると、女性店員が寄ってきて色違いのものを勧められた。
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