【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。


  ***


「……お母様、これ新しい振袖よね?」

「そうよ。最後のお見合いだし、張り切っちゃった」


 最後最後って私に対して嫌味かな。

 いや、それはないか……でも、新しい着物で胸は躍る。やっぱり可愛くて綺麗なものは好きだ。


「レースの手袋も着物に合ってるね、なんか……可愛い、私好み」

「で、でしょ? よく似合うわ」


 新しく着た振袖は、優しい金で描かれた牡丹が可愛らしいくすみピンク色。
 とても上品で可愛らしい逸品だった。お気に入りの白のレースの手袋にも違和感がなくてとても素敵だ。


「……準備できたかい? 麗」

「はい、お父様。出来ました」

「じゃあ行こうか」


 そうお父様に言われて私は宝月家の車に乗り込み、三人でお見合いの行われるホテルへ向かった。



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