【完】恋情を拗らせた幼なじみ社長は、訳アリ令嬢を執愛している。

「大崎さん。夫に確認いたしますので、フルネームを教えてくださいますか？　今、電話を繋げます」

「はぁ！？　私が秘書だって言ってんでしょ！　疑うわけ！？」


　そう言いながら、スマホの彼の連絡先を開き電話をかけるとワンコールで出た。




「……もしもし、麗ちゃん？　どうしたの？」

「あのね、今碧くんの秘書だと言ってる女性が来ていて大崎さんって言う人なんだけど」

「……大崎？　その人、なんか言ってるの？」

「忘れ物を取りに来たって」

「秘書は増えてない。だから不審者だよ、今から本当の秘書を向かわせる。秘書長代理の坂口が行くよ」


　碧くんはそれだけ言うと、電話は切られた。だけど、モニターにはもうだれも映っていなくてやっぱり秘書じゃなかったんだなと思ったらロック解除しなくて良かったなぁと思った。