妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「……彰史さん、本当によかったんですか?」
「ん? 何がだ?」
「引き抜きの話です。私、本当にアメリカに一緒に行っても――」
もう彰史と離れるつもりはないが、自分が付いていくという選択肢ならまだある。円香のために遠慮する必要はないと思って円香は提案するが、彰史はそれを遮る。
「その話なら問題ない。俺は最善の道を選んだんだ」
「最善の道?」
「ああ。以前、この辺りをモデルにした仮想空間を見せたのを覚えているか?」
円香は少しだけ記憶を遡り、九州に行ったときにそれを見せてもらったことを思い出す。
「あ、はい。覚えています。九州に行ったときの」
「ん、そうだ。あれを本格的に事業として成り立たせるには地図データが必要なんだ。しかし、データ量が膨大だから、俺の会社の規模で用意するのは難しい。そこでSesameから提案されたんだ。データの共有と開発補助をする代わりに、Sesameの傘下に入らないかと。俺個人にはそれなりのポストも用意するからと」
仕事のことはわからないが、そのデータが必要というなら、やはり受けるべきだったのではないかと心配になる。
「え、それなら、その話を受けたほうがいいんじゃ?」
「確かに、開発スピードを考えれば悪くない話だ。KGFITの未来も安泰だろう。きっと以前の俺なら承諾していたと思う。だが、今は違うんだ。俺の価値観が変わったから」
「価値観、ですか?」
「前にも言っただろ? 円香が新しい価値観を教えてくれたと。前に進み続けることがすべてだった過去とはもう違うんだ。俺は今も大切にしたい。Sesameの傘下に入れば、向こうの意向に従わざるを得ないことも多いだろう。それだとKGFITが今持っているものを大切にできないかもしれない。だから、あくまでも業務提携の形に留めるのが最善の道だったんだ。もちろん他の役員も同意している」
円香が想像しているよりも、ずっと深く考えて出した結論だったようだ。確かによく考えてみれば、やり手の彰史が自分の不利に事を運ぶわけがない。彰史を想うあまり、素人の円香が余計な心配をしていただけだったというわけだ。
「ん? 何がだ?」
「引き抜きの話です。私、本当にアメリカに一緒に行っても――」
もう彰史と離れるつもりはないが、自分が付いていくという選択肢ならまだある。円香のために遠慮する必要はないと思って円香は提案するが、彰史はそれを遮る。
「その話なら問題ない。俺は最善の道を選んだんだ」
「最善の道?」
「ああ。以前、この辺りをモデルにした仮想空間を見せたのを覚えているか?」
円香は少しだけ記憶を遡り、九州に行ったときにそれを見せてもらったことを思い出す。
「あ、はい。覚えています。九州に行ったときの」
「ん、そうだ。あれを本格的に事業として成り立たせるには地図データが必要なんだ。しかし、データ量が膨大だから、俺の会社の規模で用意するのは難しい。そこでSesameから提案されたんだ。データの共有と開発補助をする代わりに、Sesameの傘下に入らないかと。俺個人にはそれなりのポストも用意するからと」
仕事のことはわからないが、そのデータが必要というなら、やはり受けるべきだったのではないかと心配になる。
「え、それなら、その話を受けたほうがいいんじゃ?」
「確かに、開発スピードを考えれば悪くない話だ。KGFITの未来も安泰だろう。きっと以前の俺なら承諾していたと思う。だが、今は違うんだ。俺の価値観が変わったから」
「価値観、ですか?」
「前にも言っただろ? 円香が新しい価値観を教えてくれたと。前に進み続けることがすべてだった過去とはもう違うんだ。俺は今も大切にしたい。Sesameの傘下に入れば、向こうの意向に従わざるを得ないことも多いだろう。それだとKGFITが今持っているものを大切にできないかもしれない。だから、あくまでも業務提携の形に留めるのが最善の道だったんだ。もちろん他の役員も同意している」
円香が想像しているよりも、ずっと深く考えて出した結論だったようだ。確かによく考えてみれば、やり手の彰史が自分の不利に事を運ぶわけがない。彰史を想うあまり、素人の円香が余計な心配をしていただけだったというわけだ。