妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 甘く過ごしたその日から約一ヶ月が経ち、二人は大きなトラブルもなく無事に新たな年を迎えた。

 元旦を二人きりでゆっくりと過ごした円香と彰史は、翌日に揃って円香の実家へとやってきた。

 今はリビングで団欒のひと時を過ごしている。




「円香、これ」

 母がそう言って差し出してきたのは一つの封筒だ。

「麗香から預かったの。あなたに渡してほしいって」

 麗香からだと知り、円香は驚く。

「無理はしなくていいからな」

 父は心配そうに円香を見つめている。無理に受け取らなくてもいいと言っているのだろう。

 しかし、円香は大丈夫だからと小さく微笑み、その封筒を受け取る。緊張を紛らわせるように小さく息を吐いてから、恐る恐る開けてみれば、中には折りたたまれた一枚のメモ用紙が入っていた。

 その用紙にはたった一言だけが綴られている。

「『ごめんなさい』って。それだけ」

 円香は全員に見えるようにそっとテーブルの真ん中へその紙を置く。皆、切ない笑みを浮かべ、小さく頷いている。きっと両親も円香も今同じ気持ちでいるのだろう。

 麗香が自分たちの気持ちに気づいてくれたことに安堵し、そして、ここに至るまでどうにもできなかったことを悲しんでいる。
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