妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「お母さん。麗香ちゃんはどうしてるの? 様子くらい見てるんでしょ?」
「今は、真面目に家事と育児をしてる。なかなか上手くはいかないみたいだけど、逃げ出すことはなくなったわね」
「そう。それならよかった」

 麗香が自分の人生と真っ当に向き合っているなら、あのとき話し合った甲斐もあるというものだ。切ない気持ちは消えないが、ほんの少しだけ胸のつかえがとれて、円香は小さく息をつく。

 円香の言葉にはしづらい複雑な気持ちを彰史は察してくれたのだろうか。彰史は何も言わずに優しく円香の背中に触れ、円香を労わるように軽くトントンと叩く。

 たったそれだけで円香の心は癒される。

「大丈夫。ありがとう、彰史さん」

 感謝の気持ちを込めて微笑めば、彰史も優しく微笑み返してくれた。

 そんな円香たちを両親も優しい表情で見ている。

「すっかり仲のいい夫婦だな」

 父のその言葉に円香は照れながらも小さく「うん」と頷く。彰史も同様に頷くが、彰史はそれだけでは終わらない。

「当然です。愛し合っていますから」
「っ!?」

 両親の前で何を言いだすのかと円香はぎょっとして彰史を見つめる。両親も驚いた表情をして彰史を見ている。しかし、彰史はまだ止まらない。

「円香さんへの想いは日々募る一方でとどまるところを知りません。彼女も想いを返してくれて、本当に奇跡のような毎日を過ごしています」
「なっ!?」

 親の前でこんな甘い台詞を吐かれれば、円香は恥ずかしくてたまらなくて、もうじっとしていられない。

「……私、部屋の片づけしてくるっ!」

 円香は慌てて席を立ち、リビングを離れる。その勢いのままに自分の部屋に続く階段へと向かった。
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