妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
「円香」

 そう呼んだのは彰史だ。すぐに先ほどのことを思い出して、円香は彰史に抗議する。

「っ……もう、両親の前でまであんなこと言わないでください!」
「ご両親の前だからこそ、俺の気持ちが本物だとわかるだろ?」
「そんなことしなくても疑ってません。だから、そんなに言わなくて大丈夫です」

 この男はアメリカから帰ってからというもの、毎日毎日円香に愛を囁いてくるのだ。『おはよう』と共に『好きだ』と言い、『おやすみ』と共に『愛している』と言う。

 朔也もそれなりに言葉にしてくれる人だったが、今の彰史はそれを上回っている。しかも、やたらと甘い空気を出してくるから、円香はいつも参ってしまう。

 彰史だって円香がよわっているのはわかっているはずなのに、少しも手を緩めてくれないのだ。

「君は存外自分への好意に鈍いようだからな。毎日しっかり教え込まないとダメだ。俺がどれほど円香を愛しているのかを。今このときだって俺は君が好きなんだ」
「もう……絶対からかってるでしょ……」
「そんなわけないだろ? 俺はいつだって本気で愛していると言っている。円香は違うのか?」
「それは……違わないですけど……」
「けど、なんだ?」
「……恥ずかしいんですっ!」

 円香は頬を膨らませて、彰史をキッと睨む。円香だって、もっと自然な流れでなら、愛してると言われたいし、自分も愛してると言いたい。

 彰史が円香の羞恥心を煽るようなやり方をするからいけないのだ。
< 195 / 201 >

この作品をシェア

pagetop