妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
 彰史に自分の気持ちを受け止めてもらって、円香は嬉しさと感謝の思いで胸がいっぱいになる。

「ありがとうございます。本当にありがとうございます、彰史さん」
「ああ。円香も正直に話してくれてありがとう。ちゃんと待つから安心しろ」
「はい」
「じゃあ、今日はもう寝るか」
「え?」
「ん? まだ寝ないか?」

 円香も彰史も互いに不思議そうな顔をしている。どうやら何かすれ違いが起きているらしい。

「……え? いや、あの……今日は、しないんですか?」
「……は? 円香が待ってくれと言ったんだろ?」

 円香はようやくすれ違いの正体を悟る。円香が言った台詞が彰史に誤解を与えているらしい。

 円香は誤解を解く言葉を伝えようとするが、恥ずかしくてしどろもどろになる。

「それは……その、そうじゃなくて……今は上手くできなくても、責めないでほしい、という意味で……それ自体のことでは……」

 円香が待ってほしいのは、あくまでも上手く受け入れられないかもしれないという点だけである。うっかり同じような態度を取ってしまっても、拒絶したいわけではないとわかってほしかっただけだ。その行為自体を待ってほしいわけではない。

 けれど、それを言葉にするのは、なんだか自分から彰史を求めているようで円香はどうにも恥ずかしかった。

 はっきりしない物言いで彰史に伝わっただろうかと彰史の様子を窺えば、彰史はなぜか肩を震わせて笑っている。

「はははっ。君は本当に頑張り屋だな」
「ええ?」
「本当にいいのか? 俺はちゃんと待つぞ?」
「大丈夫です。でも、本当にちゃんと変われるかの自信はまだないので、しばらくは大目に見てほしいです」
「ああ、それはわかった。でも、俺と向き合う気持ちではいてくれるんだろ?」

 円香は一つはっきりと頷く。

「ちゃんと彰史さんと向き合います」
「わかった。なら、しようか。おいで、円香」

 円香を優しく誘う声によって円香は彰史のほうへ引き寄せられる。迷いなく彰史の前まで歩み寄れば、すぐにベッドの中へと招かれた。
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