「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 そう言うエレオノールの額には汗が滲んでいた。

(思った以上に傷が深い。それに強い毒の気配がある。ジークハルトさんを殺したいほど疎んでいる人間がいるということ……?)

『ジークは仲間を守ろうとしたのよ。なのに、あの肉が』

 ぐるる、とシュルーシュカが喉を鳴らして怒りを示す。

『頭を噛み砕いて引き裂いてやったわ。私の息吹を感じさせてやるまでもない。愚かで、狡猾で、醜い肉……許さない』

 流暢に話しているようで、ときどきぎこちない単語が差し込まれる。それはシュルーシュカが冷静になりきれていないことを表していた。

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