「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
そのドラゴンとの戦いの光景は共有されない。
陰鬱な雨の夜に慟哭が響くだけ。シュルーシュカの記憶だからか、映像の中に黒いドラゴンの姿はなかった。
『そんな時にジークが言ってくれたのよ。もう私が泣かなくてすむように、絶対に独りにしないって約束してくれたの。今までたくさんの宝物を集めてきたけど、あの言葉が私にとって一番の宝物だわ』
「……それはジークハルトさんを大切に想うのも当然ですね」
『そうでしょう? そんな相手を、あなたは助けてくれたのよ。誇ってちょうだい』
「私は自分にやれることをしただけですよ」
シュルーシュカが喉を鳴らして、顔をエレオノールに近づける。