「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 リュースを抱いているおかげで世話の一環だと思われたのも大きい。

 そういうわけで無事に城の敷地を出て街に降り立ったエレオノールは、その足でまっすぐ宿屋に向かった。

 遠方から多くの人が集まる宿屋の前には、よく馬車が止まっている。

 いくらか金銭を握らせるなど、交換条件を提示すると乗せていってもらえる時があった。

 目的地に直接向かわないにしても、道中の時間を大幅に短縮できるのである。

「あのう、すみません。よろしければご一緒させてください」

 商人と思わしき初老の夫婦に声をかけると、ふたりは快くエレオノールの申し出を受け入れてくれた。

「その子はもしかしてドラゴンかい?」

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