「役立たず」と死の森に追放された私、最強竜騎士に拾われる~溺愛されて聖女の力が開花しました~
 リュースは不満げに首を振ると、エレオノールの膝の上に乗って丸くなった。

 逃亡生活が長くなるのを考えてエレオノールも目を閉じると、御者台のほうから話し声が聞こえてくる。

「そういえば、リヨン王国の貴族からジークハルト殿下に求婚があったそうだよ」

 眠ろうとしたエレオノールがぴくりと反応する。

(求婚……?)

 なるべく身体を休ませるつもりが、これでは気になって眠れない。

 耳をそばだてていると、御者台に座った商人夫婦の話し声がまた続いた。

「へええ、今まで浮ついた話ひとつない殿下にねえ。まあ、今も独り身なんて遅いくらいではあるんでしょうけど。お相手のご令嬢はおいくつなの?」

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