【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「だから、その、あのね……」

 なんとか瑛二くんの機嫌を損ねないようにしようと、言い訳じみた言葉を紡いだ。

 恐ろしくて瑛二くんの顔が見れなくて、自然と俯く。しばらくして、瑛二くんが「みつば」と声をかけてくれる。

 ……ちょっと、迷った末に顔を上げる。

 何処となくほっとしたような瑛二くんと、視線が絡み合った。

「瑛二、くん……?」

 きょとんとしつつ、彼の名前を口にする。そうすれば、瑛二くんは「よかった」と呟いていた。

「いや、なんだろ。……一緒に暮らすの不満だって言われたら、立ち直れなかった」
「……大げさなんだけど」

 確かに不満……に、近い感情は持っている。けれど、それだけだ。

(私は契約上でも妻なんだから。……瑛二くんとの関係を悪くするようなことは、言っちゃダメだ)

 しばらくの間でも一緒に住んで、夫婦という関係になるのだから。

 ……良好な関係を築くのは、大切だと思う。

「大げさじゃない。……俺は、なんだかんだ言ってもみつばが大事だから」

 かといって、そんなことを目を合わせて言われたら。

 勘違いしてしまいそうになるじゃないか。

 ――自分が、望まれて彼の妻になったんだって。

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