【完結】スキャンダラスな愛され契約~危険な魅力の幼馴染の愛は重い~
「みつば? 大丈夫か?」
「……う、ん」

 なんだか、身体がおかしいような気がする……。

「顔色が悪いな。……とりあえず、救急車を呼ぼう」

 零一くんがスマホをタップしていく。……そんな、救急車だなんて。

(そんな、大げさなものじゃないって……)

 そう言おうとしたのに、言えない。

 視界がぐるぐると回って、自分が自分じゃないみたいだった。

「みつば! 兄貴!」

 だから、なんだろうか。幻聴が、聞こえたような気がした。

(……瑛二くん?)

 ここにいないはずの人の声が、聞こえてくる。側に駆け寄ってくるような足音も、幻聴。うっすらと目を開けてみるのも、幻覚。

「兄貴。救急車を呼ぶより、俺が車を走らせたほうが早い」
「そう、だな。……彼女のことは、任せておけ。なんとかしよう」
「あぁ、頼む」

 何処か他人事のように会話を聞いていると、ふわっと身体が浮き上がる。

「みつば、大丈夫だから」
「……えい、じ、くん?」
「そう、俺。……今から病院行くから、辛かったら眠ってろ」

 身体を優しく抱き上げられて、私は何処かに運ばれていく。

 ……後ろからはヒステリックな叫び声が聞こえる。それから、零一くんの声も。

「……みつば、本当、ごめんな」

 小さくそんな声が聞こえてきて、私の意識は、眠りに落ちた。

 無意識のうちに瑛二くんの衣服を掴んでいた手が、滑り落ちた。
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