出会った彼は

ポロポロと流れてくる涙を拭いながら、そう遠くはない家までの距離を走る。


好きだった。ちゃんと好きだったからショックだった。


2人で一緒に過ごした家も、一緒に選んだ家具も、日常も。全て私の大切な物だった。

だけど、最後の方は不安ばかりで辛かった。


一緒に居たいから、気づかないふりをしていただけ。

「芽依!」


もう少しで家に着く、そう思った時腕を掴まれる。

想が追いかけてきたようだった。

「離して!」

今更追いかけてこられてももう遅い。


本気だという言葉も、好きという言葉も。あの時、別れた時ならまだ戻れたかもしれない。

でももう無理だよ。


「芽依。お願い話聞いて。」

「やめてよ。もう私に関わらないで…―――」

「芽依ちゃん?」
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