日常を返せ！
「僕は証拠を掴んだだけです。ほら、彼女がマンガを持ってこちらに走っていたところを撮ったんです」

　男子生徒はそう言って、先程撮った写真を店員に見せました。

「これはその男子生徒が、わたしにマンガを押しつけて撮ったものです。信じてください！」

「じゃあ、もう一つはどう言い訳するんだ！」

　店員はわたしが持っていた物を指差した。

　マンガの他にわたしの手には新品のボールペンを持っていました。

　男子生徒を呼び止めるのに夢中で持ち出してしまったのです。

　わたしの顔から血の気が引いて、二人を見ました。

　店員はこちらを睨みつけ、男子生徒は口元を隠して驚いています。

　しかし、わずかな指の隙間から見えた口の端は笑っていました。

「これは彼が万引きで逃げそうだったのを止める為、慌てて出たので持って出てしまったんです」

「それは言い訳です。その二つを盗んだのを見て、僕が捕まえたんです。証拠は彼女の手元にあるから、十分でしょう？」

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