日常を返せ!
 わたしは自分には関係ないから何もしなかったのに、こんな事に巻き込まれるなんて思いもしなかった。

「そうそう、新田さんの無神経な言葉に腹が立って、言い忘れていました」

「何よ?」

「わたし、あなたにデスゲームの説明をした時に嘘を言っていたんです」

「『復讐者』を『殺人者』と伝えたことでしょう? それがあればアンタの過去を調べて分かったのに……」

「お生憎様。デスゲーム主催者にゲームが始まった時から万引き冤罪の記事はほとんど消してもらいました。……もっと早く消してくれれば、こんな事にならなかったのに」

「それだったら無理じゃん。わたしはアンタの事を忘れていたし、ルールもテレビが壊れて聞いてないんだから、『復讐者』を探すなんて出来ない」

「本当、馬鹿ですね」

 羽間はわたしのことを鼻で笑った。

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