御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
 私の抱える不安は、さっき葵さん自ら否定してくれた。だから拒む理由などなにもなくて、意を決して口を開く。

「私も、葵さんが好き」

 羞恥をこらえてなんとか伝えると、「知ってる」と微笑み返される。

「それなら、やはりこの関係は終わりだ」

 そっと私の手を取って、左手の薬指をサラリとなでた。

「順番は前後したが、俺は自身の目で伴侶を選んだ。瑠衣。これからは、俺の隣で一緒に歩いていってほしい」

 涙をこらえながら、繰り返し首を縦に振る。
 守られるだけでない。彼に対等に扱われることが、たまらなくうれしかった。

「よろしく、お願いします」

 震える声でなんとか答えた私に、葵さんがささやく。

「愛してる」

 距離はますます縮められて、目を閉じる。その瞬間、ふたりの唇が重なっていた。
 繰り返し、何度も口づけられていく。軽い触れ合いは次第に深くなっていき、しがみつくようにしながら必死に応えた。

 ようやく解放されて、濡れた唇を彼の親指が拭う。
 そうしながらも彼は、色気を纏った熱い視線で私を見つめてきた。

「瑠衣がほしい」

 一気に全身が熱くなる。拒もうなどという気はまったく起きなかった。

 言葉だけでなくて、愛されていると実感がほしい。絡んだ視線はそのままに小さくうなずいた私を、葵さんが抱き上げた。
 そのまま向かった先は、彼の寝室だ。
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