御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
「腹が立ったから、泣き顔をつくって皆の前で謝ってやったわ。あの人にいじめられたように見えてたんじゃないかな」

 それはもしかして、悲愴感あふれる表情で私に謝罪してきたときのことを言っているのか。
 彼女の態度は過剰反応だと感じたが、まさかそんな悪意が込められていたなんて知らなかった。

「恵麻、やりすぎだって。いい加減にしておきなよ。きちんと仕事をしないで、取り返しのつかない事態になったらどうするのよ」

 同期の彼女の方は常識があるようで、三浦さんに対して必ずしも同調していないのが救いだ。
 さすがにこんな悪意に賛成されていたら、いろいろと怖くなる。

「これまで大丈夫だったんだから、問題ないわよ。お願いすれば、周りの人がやってくれるんだもん」

 とくに男性社員の中には、三浦さんに甘い人たちがいる。
 自分が馬鹿にされているのはともかく、彼女のあまりの無責任さに呆れてしまう。
 せっかく同期が忠告してくれているというのに、まったく響かないようだ。

「そんなの、いつまでも通用しないわよ。ちゃんとしなって、私は言ったからね」

 危うく仲違いしそうなようにも聞こえる。
 けれど相手の女性は、問題まで発展させない軽い口調で上手くいなしてしまえた。

 どうやらふたりは立ち去ったようで、静まり返っている。

 三浦さんに失敗が多いのは、もしかしてとわざとかと考えたことはある。
 でも違っていたらと思うと、本人には聞けずにいた。
 へたに尋ねれば結局はこちらが悪者にされていたのかもしれないと、彼女の本心を知ってぞっとする。
 彼女との関りは今後も悩まされそうだと、気が重くなった。
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