御曹司は離婚予定の契約妻をこの手に堕とす~一途な愛で溶かされました~
 休憩を終えて、席に戻る。
 三浦さんがまだ不在なことに、ほっとしてしまう。

 長谷川さんが私を信じてくれるのはうれしいけれど、やはり自分をよく思っていな人が近くにいるのは落ち着かない。
 複雑な気持ちを振り払いながら午後からの業務を確認していると、田中さんが戻ってきた。

「さっきは手伝ってくださり、ありがとうございました」

 私から声をかけたのが意外だったのか、田中さんは驚いた顔になる。

「どういたしまして。なにかあったら、いつでも頼ってくれてかまわないから」

 でも返ってきた言葉は温かくて、ほっとする。

「はい。ありがとうございます」

 愛想がいいとまでは言えなくても、言葉でくらいはきちんと伝えたい。その大切さは、葵さんと過ごす中で身に染みている。

 それからしばらくして戻ってきた三浦さんからは、たまに鋭い視線を向けられていた。噂話の件もあるし、私に対する執念は薄れていないようだ。

 なぜ、なんて考えても無駄なのだろう。おそらくそれは私からすれば理不尽な理由で、他人から見れば些細なものにすぎないのだろうから。
 彼女とはどうしてもわかり合えないのだと、割り切るしかない。
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