星のような僕らは

星を見上げて

家に帰ってからも私は歌詞を考え続けた。
私はこの歌で何を表現したい?
今回のキーワードは、星と恋。
それを自分に落とし込まないといけない。
だから、本棚の奥に仕舞い込んでいた恋愛漫画の単行本を引っ張り出して読み直すことにした。
小学生の高学年の頃によく読んでいた漫画だ。
ページをめくるたびに続きの話が頭の中に浮かんできた。
あっ、ここは告白のシーンだ。
もう、こんなに読んだのか。
夜中まで起きたまま、全巻読んだが、何も思いつかなかった。
また、明日、考えよう。
そう思った時、蒼也からメールが来た。
すごい、長文だ。
「寝てるか?
寝てなかったら、歌詞の事、ずっと考えてそうだから、言っておく。とりあえず、寝ろ」
おっしゃる通り。
「でも、考えすぎて寝られなかったら、話、聞くから。
メールでもいいし、電話でも聞く。
とにかく、明日考えるなら、また、明日考えろ。
連絡来なかったら、寝たと判断する」
私はすぐ、返事を返した。
「起きてる。あの、電話してもいい?」
すぐに既読が付き、蒼也から電話がかかってきた。
「もしもし」
「あのな、俺が良いって言ったんだから、勝手にかけてこればいいだろ」
「ありがと」
「それで、何、考えてたんだ」
「恋ってどんな感じなんだろうって考えに戻っちゃって、恋愛漫画読んでた」
「梨歌は星と自分の共通点を見つけたからあの歌が出来たんだろ?だから、それに恋と言う感情を落としこんでリンクさせようとしてる」
うん。
「だったら、もう一回、空、見ろよ。」
空?
私は部屋のカーテンを開けた。
すると、雲一つない空に満天の星があった。
「綺麗だね」
「ああ」
今、何か見えたような?
部屋の電気を消して、窓に戻ると沢山の流れ星が流れていた。
「流星群だ!」
「そっちも見えたか。これ、見せたくて連絡したんだ。でも、寝てたら、起こしたくないし」
「ありがと、蒼也!」
「どういたしまして。
...あのさ、これから先も何か迷ったら、星、観て、一回、全部忘れろ。
俺もいる。そう思ってるだけで良いから」
蒼也...。
「分かった」
「落ちついた?」
「うん」
「俺も曲のイメージが浮かばなかったり、上手く音に出来ない時があってさ、そんな時に星を見ると大丈夫って思えるんだ」
そうなんだ。
「だから、さっき、梨歌の心配もあったけど、俺も曲考えてたら、寝られなくなって、外、見たら、星が見えて、流星群も見えて、梨歌も歌詞考えてるのかと思ってメールした。
すぐ、返事来たの、嬉しかった。
俺も一人じゃないんだって思えたから」
「私も蒼也から連絡来て、一人じゃないんだって、嬉しかった」
「一つ、約束」
ん?
「どうしようもないときは星を見て一人じゃない。大丈夫。って心の中で唱える。約束な」
「うん!」
もう、大丈夫。
「蒼也も約束だよ」
「ああ、約束する。...このまま、少し、作業する?」
「する!」
そして、始めた作業は深夜の一時頃まで続いた。
「そろそろ、俺、寝る。おやすみ」
「うん。ありがと、おやすみ」
眠たかったんだろうな。
私は、空を、星を見上げた。
ありがと、蒼也。
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