強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
私が完食するのを待って席を立つ。トレーを片して歩き出せば、社長がすかさず言った。

「せっかくだから見て回るか」

多分、私がもう帰ろうと言い出すと思ったのだろう。正解。映画も腹ごしらえもしたし、こんなところで社長と過ごす理由はなくなった。すっかり映画を楽しんで食事までしてしまって、私としてはこの時点で既に大誤算なのだ。

こんなはずじゃなかった。社長の強引さは相変わらずなのに、なんでこんなに自然な時間が流れているの。

「芹澤、顔怖い。 おまえ俺にだけ厳しくない? 野口はともかく、山根にも微笑みかけてたしさぁ」

瑠夏ちゃんと社長が同じ扱いなわけないじゃないですか。

「山根さんのあれは挨拶みたいなものだと思ってるので。 …一静さんはなんか色々思うところが…」
「なんだよ思うところって!」

あげたらキリがないので私ははぐらかして答えた。社長のダメなポイントは何よりもまず、ジェントルマンが足りないことだよね。

何だかんだ言いつつモールを回ることになった。おかげで社長の服の趣味とか好みの本とかを知ることができた。全く嬉しいとは思わないけれど。同時に私のことも多少知られてしまったので、社長は嬉々としていた。
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