強引社長は才色兼備のOLにご執心 ~そのキス、どういうつもりですか?~
半周したくらいで、ふと雑貨屋に目を向けた時だった。視線の先に、私を見て驚いた顔をする人物。湊だった。しかもひとりじゃない。隣には背が低く服装も髪型も女子力の塊みたいな女の子。湊が彼女とここに来ていても何もおかしいことはない。ここはそれなりに大きくて有名な場所なのだから。だけど、会いたくなかった。

「涼…!」

湊が私の名を呼び、社長もこちらの様子に気がついて少し離れたところにいたのがピッタリと私の隣に並んだ。

忘れていたわけじゃない。たしかに今の今まで頭の隅に追いやられていたけれど。社長と色々あって、湊とのことを考えないでいられたのは事実。これって社長の思惑通りなんじゃない?
でも今、いざ湊を前にすると結構痛い…かも。

「隣の人は…」
「いずれ彼氏になる男です。 あなたは?涼の何なんですか」
「な、何って、」

対抗するように社長の口から発せられた私の名前。身長も、伸びた背筋も口調も何もかもが社長の方がしっかりしている。完全に気圧された様子の湊と、その隣で所在なさげに立っている彼女をこれ以上見ていたくなくて私は社長の腕を引いた。
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