アタシより強けりゃネ[完]
「しもっちゃん、なんで煽ってるの?帰ろ」

なんでクニチカを煽るような事を言っているんだろう。しもっちゃんだけじゃなく、うちのみんなはクニチカやナオキを敵認定してないんだけどな。

「うん?強くなるって、なんかやってるんだろう?」

それはそうだけど…なんかってだけで具体的には知らない。でもクニチカはトレーニングしてるらしい。前はナオキ寄りの緩さが人気なのかと思ったけれど、たまーにキリッ、ビシッと見える時がある今日このごろのクニチカだ。

「さゆみん、俺の話を家でしてるんだ」
「そうなるね…嫌だったらゴメン」
「全く嫌じゃないし」
「そう?」

私はバッグだけを助手席に置いて‘おーい、しもっちゃん’と心の中で呼ぶ。その間もずっとナオキがビミョーな距離で立ってるのが可笑しい。よほどしもっちゃんと関わりたくないんだね。

「どうする?トレーニングの成果…試してみるか、三井サン?」
「俺、オッサンに喧嘩吹っかけられてる?」
「おぉ、オッサンねぇ…」
「違うの?」
「……邦親…命知らずだな…」

またナオキのつぶやきがビミョーに可笑しい。

「オッサンを相手には出来ないなら紗友美でもいいぞ」
「さゆみんは可愛いから無理」
「確かに可愛いけど、俺は紗友美と手合わせするけどな」
「鬼畜ってんな、オッサン」
「あははっ…鬼畜だって。アタシはしもっちゃんだけじゃなく、きぃちゃんもユキちゃんもみんなとワークアウトするし組手もしてきたし普通。だって他の人とやったら、それこそ喧嘩だぁってなるでしょ?」
< 85 / 156 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop