このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
「おはようございます、奥様」
昨日、イリヤ付きの侍女として紹介されたサマンサがやってきた。
「おはよう、サマンサ。着替えをしたいけれど。よく考えたら、私、ドレスとか持っていないのよね……」
サブル侯爵家で住み込みで働いていて、そこをいきなり追い出された。だからドレスは持っていない。黒や紺の地味なワンピースと、動きやすいショートスカートのワンピースとその上に着るボディスくらいしかない。
「ご安心ください。旦那様から伺っておりますので、既製品ではありますが、いくつか取りそろえてあります。また、本日は仕立屋を呼びました」
さすがあの宰相閣下は根回しがいいようだ。
「本日は、こちらのお召し物などいかがでしょう」
まるで森林浴をしているような気分にさせられる色合いである。深い緑色でありながら、どこかやわからい感じがする。
だがイリヤは気がついた。このドレスの色は、クライブの瞳の色に似ている。けれども、ここでこのドレスを拒むのも不自然だろう。
「ええ、それをお願い」
ドレスを着付けてもらい、髪も結い上げてもらう。髪はこちらのほうがマリアンヌを抱っこしたときに、邪魔にはならない。
「食堂にご案内いたします」
「マリアンヌも一緒にいいかしら? まだご飯は食べられないけれども、一緒のテーブルにつくのがいいと思うの」
よくよく考えてみれば、三人とも血の繋がりがない、赤の他人の集まりである。それを本当の家族のように見せる必要があるなら、少しでも時間を一緒に過ごしたほうがいい。
「承知しました」
準備を終えたイリヤは、早速マリアンヌの部屋へと足を向ける。
昨日、イリヤ付きの侍女として紹介されたサマンサがやってきた。
「おはよう、サマンサ。着替えをしたいけれど。よく考えたら、私、ドレスとか持っていないのよね……」
サブル侯爵家で住み込みで働いていて、そこをいきなり追い出された。だからドレスは持っていない。黒や紺の地味なワンピースと、動きやすいショートスカートのワンピースとその上に着るボディスくらいしかない。
「ご安心ください。旦那様から伺っておりますので、既製品ではありますが、いくつか取りそろえてあります。また、本日は仕立屋を呼びました」
さすがあの宰相閣下は根回しがいいようだ。
「本日は、こちらのお召し物などいかがでしょう」
まるで森林浴をしているような気分にさせられる色合いである。深い緑色でありながら、どこかやわからい感じがする。
だがイリヤは気がついた。このドレスの色は、クライブの瞳の色に似ている。けれども、ここでこのドレスを拒むのも不自然だろう。
「ええ、それをお願い」
ドレスを着付けてもらい、髪も結い上げてもらう。髪はこちらのほうがマリアンヌを抱っこしたときに、邪魔にはならない。
「食堂にご案内いたします」
「マリアンヌも一緒にいいかしら? まだご飯は食べられないけれども、一緒のテーブルにつくのがいいと思うの」
よくよく考えてみれば、三人とも血の繋がりがない、赤の他人の集まりである。それを本当の家族のように見せる必要があるなら、少しでも時間を一緒に過ごしたほうがいい。
「承知しました」
準備を終えたイリヤは、早速マリアンヌの部屋へと足を向ける。