このたび聖女様の契約母となりましたが、堅物毒舌宰相閣下の溺愛はお断りいたします! と思っていたはずなのに
いや、安っぽい宿の狭い寝台で眠っていたときは、こんなにごろごろと動かなかったはず。これほど動いたら、眠っている間に寝台から落ちてしまう。
「毎度のことながら、申し訳ありません。閣下の安眠を妨害してしまいまして」
「これはこれで、存外寝心地のいいものだから、気にするな」
「閣下が気にしなくても、私が気にします」
うぬうぬっと彼の胸元辺りを押しのけようとすると、やっとクライブが解放してくれた。
「それでは、また朝食の時間に」
イリヤは、寝台からおりようと身体を起こす。
「イリヤ。今日は、登城の日だ」
クライブがイリヤの手をきゅっと握って言った。その表情は「申し訳ない」と言っているようで、おりている前髪と眼鏡のないその顔が、どこか捨てられた子犬のようにも見えた。
「いえ、閣下のせいではございません。すべては陛下のせいかと……」
「ああ、それは否定しない」
クライブにまじまじと見つめられ、イリヤの頬はどんどんと熱くなる。朝から、心臓がもたない。
「では、着替えてまいりますので」
クライブはイリヤの手をぱっと離した。
彼から解放されたイリヤは、するりと寝台から抜け出し自室へと向かう。
サマンサに手伝ってもらって、蒲公英色のドレスを着る。この色のドレスはマリアンヌのお気に入りの色でもあるのだ。
「毎度のことながら、申し訳ありません。閣下の安眠を妨害してしまいまして」
「これはこれで、存外寝心地のいいものだから、気にするな」
「閣下が気にしなくても、私が気にします」
うぬうぬっと彼の胸元辺りを押しのけようとすると、やっとクライブが解放してくれた。
「それでは、また朝食の時間に」
イリヤは、寝台からおりようと身体を起こす。
「イリヤ。今日は、登城の日だ」
クライブがイリヤの手をきゅっと握って言った。その表情は「申し訳ない」と言っているようで、おりている前髪と眼鏡のないその顔が、どこか捨てられた子犬のようにも見えた。
「いえ、閣下のせいではございません。すべては陛下のせいかと……」
「ああ、それは否定しない」
クライブにまじまじと見つめられ、イリヤの頬はどんどんと熱くなる。朝から、心臓がもたない。
「では、着替えてまいりますので」
クライブはイリヤの手をぱっと離した。
彼から解放されたイリヤは、するりと寝台から抜け出し自室へと向かう。
サマンサに手伝ってもらって、蒲公英色のドレスを着る。この色のドレスはマリアンヌのお気に入りの色でもあるのだ。